JASRACのどの点を非難すべきか
玉井克哉 JASRAC などと検索していただければ、音楽教室を対象としたJASRACの著作権料徴収をする方針にした経緯や、関係者のツイートとそれを巡るネットの声なんかがわんさか出てくるのでご覧いただければ。
・この件を機に、JASRACの何が非難されているのか
この問題においては、現行の著作権法において、楽曲の練習や指導が著作権法の対象とする演奏にあたるのかという点にある。法律が決まっている以上、JASRACの意向によって適用できるというようなものではないかということだ。
・関係ないといえることなのに持ち出される批判
1.アーティストへの配分が不透明
これに関しては、会員こと著作権者がそれぞれで契約して配分に関する事項なので、それ以外の者が騒ぐことではない。配分が不透明だから払いたくないという気持ちも分からなくもないが、やはり別問題だしJASRAC側も「配分はちゃんとしてるし、あなたたちはアーティストにお金を払いたくないんですか?」という反論もおかしい。あくまで著作権法の適用の問題。
2.小さいものをいじめてるとか、大きいものにはすり寄るのかといった批判
たしかに、かつてはジャズ喫茶などの訴訟をはじめとして、まずどこかに訴訟を起こして見せしめにして、その後一斉にいろいろな店舗にJASRAC加入の知らせを送ったという件があった。
また、インターネット上での違法アップロードに対しても、あくまで著作権料の徴収がしごとだからと重い腰を動かしてはくれないという話もあった。
そういったやり方が、法律というものは一律に適用すべきということから外れている。
それに対して、今回の音楽教室はヤマハなど大手が最大の徴収元であるから弱いものいじめではないという反論が件の理事の方から出ている。
これも問題とされている点ではあるが、やはり今回の件は著作権法の適用の問題であるので関係はない。
・著作権法がJASRACのさじ加減で適用されているのではないかという批判が本質である。
東日本大地震や、熊本地震において被災地の著作権料の徴収をしないという方針を上げた(3か月)。被災地に配慮するのは素晴らしいことだと思うが、それは個々の権利者が決めることなのは確かだ。おそらく契約時にこういうことをすることもあるといった特筆事項はっただろうが。
その逆で、会員が著作権料を徴収しなくてもいいという件を個別に対応してほしいということはできないのだ。
著作権を管理するということを目的とする団体は、必要ではあると考えるしその報酬や配分といったものは会員などの関係者で決めるべきではある。もっとも、JASRACが公益団体ではあるので、そうでないものもそのあり方を論じる資格はあると思う。
だが、不透明な団体だから払いたくないというのは、実際に我々がサービスを使用する楽曲の著作権者が委託した団体なのだから仕方がない。
そういった問題は常日頃してもいいと思うが、今回の件の反論としては著作権法の適用という点であろう。