cafe dé nanntoka

1に酒、2に音楽、3にアニメ、3、4がなくてあと余談

原酒枯渇社会~サントリーウイスキー白州12年&響17年出荷停止へ~

headlines.yahoo.co.jpかつての朝ドラマッサンによって一気にニッカウイスキーシングルモルトがノンビンテージ化表記になり、いずれブームも落ち着くだろうと言われてはいたがここまで加熱してくるとは。

ちょっと前までは中国でのシングルモルト山崎人気によって山崎の12年物が品薄で白州12年が割と手軽に入手できていたのに。サントリーの所有している山崎蒸留所と白州蒸留所は、どちらも同社のウイスキーシングルモルトに限らずブレンデッドウイスキーにおいても重要な原酒を作っているが、今現在は山崎はシングルモルトに注力し、白州はブレンデッドウイスキーの原酒を作ることに注力していくようで。

ただし、ウイスキーは樫樽において貯蔵することによって熟成させていくので、この状態から抜け出すにはしばらく時間がかかる。

80年代にピークに達した日本のウイスキー消費は90年代には一気に冷え込み、2000年代のハイボールブームまでの間は冬の時代が続いた。無論、そのころの原酒の仕込み量はグっと減ってしまう。将来の消費の見通しも立たない以上仕方のないことではある。資本主義社会においては、需要に対応すべく供給をしていくが、たくさん出来上がった原酒を作ったあとでどうするか考えるのは計画経済のようなものを感じる。

そういった冬の時代に仕込まれた12年ものの原酒が枯渇しているため、此度の白州12年や響17年が休売となったのである。

なお、ウイスキーの年数表記においては最低熟成年数の表記がされるので、12年ものなら最低12年、17年なら最低17年は熟成させなければならない。

需要が冷え込んでいるときに仕込む量を減らし、いざ需要が回復したときに需要に対応できていないということは、そういえば最近の労働力不足を思い起させる。

バブルがはじけたもの90年代初頭だ。その頃から企業は採用を抑え始めた。そしていざ需要の回復により、労働力を欲しても熟成期間を経た原酒のような熟練の社員は少ない。

ウイスキーの年数表記については、年数表記にこだわらないブレンドを行うことにより、若い原酒と熟成された原酒の調和のとれたウイスキーが数々出ている。マッカランルビー1824山崎リミテッドエディションなどが年数にこだわらないブレンドが高い評価を受けている。日本のウイスキーの父の一人、竹鶴政孝ウイスキーの年数表記には否定的であったという話もある。

マッサンのブームにより一気に需要が拡大したニッカウイスキーシングルモルト宮城狭と余市の年数を廃止した。サントリーも近年は山崎10年と白州10年を終売し、そのあとを継ぐような形でノンエイジの山崎と白州を発売した。これらのウイスキーブレンドの違いはそれまでのものとは違いはあるが、しっかりとした味わいを評価されている。

深刻になる労働力不足という問題をかかえる企業も、一律に必要な資質をもとめていても、需要が冷え込んでいるときに育成を怠ったからであり、それは仕方がない。経験や技能、年齢などの浅さをもっている者でも、熟練の社員と合わせてバランスをとってしのぐということをしていかなければならないし、またはもう強いられている状況であろう。