ガイアの夜明けの炎上ツイにあえて(部分的に)同意してみる。 あとおそ松さん24話
良い給与に、安定した生活…。そんなものは「後回し」という人が、増えてきているんだそうです。「社会の役に立ちたい」という思いで仕事を探す人たち。働くことを通じて、一体なにを掴もうとしているのでしょうか。今夜のガイアは、人生「やりがい」探しの旅。あなたも改めて、考えてみませんか?
— ガイアの夜明け 番組公式ツイッター (@gaia_no_yoake) March 22, 2016
ガイアの夜明けのこのツイート、なんかホットですね。夜が明けるかと思うくらいの燃え上がり。
声としては
「よい給与も、安定した生活も欲しいけどクソな条件しかねーから仕方なく甘んじてんだよー」
と、いったものが多い。実際のところ、自分の記憶にある労働白書的なものやどこかのキャリアなんちゃら系のサイトの調査では特にやりがい(特に社会の役に立ちたい)といったものが目立った数値の変化を示したということはない。
この調査というものも、ある一定の部分を切り出して全体をみるようなところはあるので無理もない。
で、あくまで自分的に感覚として世の中を切り取ってみてこのガイアの夜明けの炎上ツイートに(部分的に)同意してみる。
良い給与、安定した生活、どちらも選べる職業は確かに減っている。これらがあふれてる中であえて選べるやりがいなら本物だろう。良い給与と安定した生活、これらが選べなくなったら我慢してどちらも手に入らない仕事をするかというと、みんながみんなそうではない。近年は働き手が仕事を選ぶ傾向にあるようで募集があるのに人がこないといった現象が起きている。
ではこういった良い給与も安定した生活も手に入らない労働市場を離れ若者は何を選ぶか。ここで、自分がガイアの夜明けに部分的に同意した”やりがい”である。部分的にと付け加えたのは、良い給与も安定した生活も選ばないのではなく選べないからと、このやりがいというものは決して社会のためだけではないからだ。
自分のいうやりがいというものは、音楽でも映像でも実況でもいい。表現行為をすることが様々な分野でツールの進歩や評価するプラットホームが整いこういったものに没頭する若者が本当に増えたと感じている。
自分も昔就活が本当にうまくいかなかったころに「今してるバンドも悪くないし音楽で食ってくか…」みたいなことをせっぱつまって考えてた。本当にバンドで食ってく人にはなんか失礼で申し訳ないけど、追い詰められてよい給与も安定も手に入らないと、どっちも厳しいと知りつつリスキーなやりがいに手を出してしまうんだよなーと。
ここで、またガイアの夜明けの炎上ツイと趣旨が違うところといえば、みんなやりがいってものを企業から与えていただけることを絶望視してるというところもある。
ここで、今週放送のおそ松さんの24話を思い出す。トト子ちゃんが色々あって、やりがいを地下アイドルに見出せなくなって婚活はじめだすという中々スピーディーな話だった。トト子はやりがいを見出せなくなって婚活といういわゆる普通の人生に軌道修正しようとしていた(石油王というぶっとんだキャラ出てきたけど構造的に)。
対して、松野家6兄弟は何松だかが就職したのに続き次々と兄弟たちが自立していくという話。就職した松はあまり高い給与や安定を手にしたようには見えず、さらにはやりがいを見出しそうにもない。就職はある種の諦めで社会の一部になる軌道修正として視聴者に映った。
話をトト子に戻すが、トト子はCDなども売れてなかったみたいだし続ける支えになってたのはやりがいであったがそれが見いだせなくなり普通の社会の一員になるほうを話では(一時的に)選んだ。その後留学してすぐ帰ってくるというオチはついたが。
仕事をするうえで社会のため…などとはいうけど、社会のためになる仕事だからカネがもらえるんだろというツッコミは今まで数えきれないほどされてきた。
良い給与と安定した生活。これらが労働市場ではあるていど見通すことはできるが、やりがいは難しい。昨今は表現活動やライフスタイルの多様化でむしろ労働以外のところで見つけやすくなってきているのではないかと考える。
仕事にやりがいを見出すのは素晴らしいことではあるが、しているうちに見つけるべきではあると思うし、それを目的にするとよい給与も安定した生活も犠牲になる可能性がある。
近年、失業者は多いが中々求人に応募してこないという話は多い。このやりがいというものは自ら見出すものは労働市場の外側にあることが多い。それを労働市場に引き込むためには、そのやりがいをあきらめるのを待つということがあるといえる。だが手っ取り早いのはそれをある程度妥協させるための良い給与と安定した生活を用意する必要があるのではないか。
にしても、まさかおそ松さんがブラックなジョークを持ちつつもところどころ世相を反映した社会派な見方をできるアニメになるとはまったく予想してなかった。