cafe dé nanntoka

1に酒、2に音楽、3にアニメ、3、4がなくてあと余談

ユーリ!!!とユーフォを比較してみて ~あえて目標達成しない~

2016秋アニメ、ユーリ!!! on Iceと響け!ユーフォニアム2が個人的に印象に残った。ユーリはフィギュアスケート、ユーフォは吹奏楽とどちらもアニメの題材としては異色だ。

たまたまそのふたつが同じ時期にやっていたというだけで、特に比べる必要もないとは思う反面、いろいろと思うところもあり…というわけで。

さて、ユーリはすごく女性の方の人気がすさまじい作品ではあったけど、男が見てもしっかりと作りこまれたアニメだからとても引き込まれる。ユーリはスポーツをとりあえずは扱っているものの、決してスポ根(スポーツとか根性とか)の類ではない。フィギュアスケートの表現を感情というものを軸に扱っているという印象をうける。スケートの練習をする場面は多々見られるが、それ自体はとくに重きをおいてはいない。スポーツをするうえで、その選手に足りないものがわかる→それを克服すべく練習→ときには励ましあい、といったようなものではなく、フィギュアスケートをめぐる人間の絆がどう物語とスケートの表現を作り上げるかを見るものだといえよう。

一方、ユーフォのほうも全国大会という目標を掲げ一丸となって吹奏楽に取り組む小説とそれを原作にしたアニメだ。私は小説は読んでないけど。部活で常に練習に取り組むが、吹奏楽という表現行為をするものである。そして、部員はみな練習をする描写はあるが、それぞれのファクターで表現行為を完成させるのはこちらも人間関係をめぐる話が決着したらということであった。

どちらの作品もグランプリファイナル金メダルも、全国大会金賞もとれないで終わるが、ガッカリという感情は残らない。ユーリのほうは、1話で世界の舞台にはあがれたものの、世界では誰にも気にも止められずふさぎこんでる勇利ではあったが、ユリオが勇利のことをヴィクトルよりも先に認めていたという事実がわかる。滑走の順番で最後になったわけで、物語のクライマックスの勇利が歴代最高得点を出す場面のほかに、この部分がもうひとつのクライマックスといえるだろう。誰にも見てもらえてないなんてことはないということがこの作品を通したメッセージともいえるのではないだろうか。そして、金メダルをとれないことで何が残るかというものをこの作品は物語っている。

そして、響け!ユーフォニアムも、いろいろな人間関係を解決しそのたびに表現が豊かになっていくが、そんな成長しきったともいえる状態ながら全国大会は銅賞という結果にすることで、最後の飛鳥と久美子の物語をクライマックスにしたといえる。

どちらも、目指していた場所とは少し違う結果になるということで、最後にそれまでを通じたものを考えさせる構造はまさに、画竜点睛を欠くの完成させないほうが良いという用法のほうであるといえるのではないか。

コンクールや競技は誰にも負けていないものは一人しかいない。そういったものをたたえるドラマというものよりも、目的を達成できなかったときに何が残るか。それをやっていることの楽しさとそれをとりまく人間の絆というものを表現していたというこのアニメ。人類の存亡をかけてたら負けたらまずいよということになるわけだけど、そうではないし、みんなが共感というか、ぐっときてるこの良作がある背景には夢中になって力を出し切ることや、切磋琢磨したいとい、夢中になりたいという願望があるんじゃないかなと(ユーリの腐的あれはのぞく)。